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Art

視力が悪い私が絵を3年間勉強してきて「目が悪いからこそ良い絵を描こう」と思えた日

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こんにちは、RINです。

 

私は小さい頃から絵を描くのが好きで、高1から画塾に通い始めた。

 

私の目は弱視という病気で、コンタクトやメガネをつけても視力が全然上がらない。

絵の勉強をしていくうちに、自分の目の悪さが、描く対象物が鮮明に見えないことがすごく嫌になった。

 

「細かいところを描きたくても描けない」

「なんで目が悪くて生まれてきたんだろう…」

何度もそう思いながら、懸命に目をこらしたりモチーフに近づいて構造を記憶して描いたりしていた。

でも、「絵を描く」ということが好きだからこそ、目が悪いからって理由で良い絵が描けるのを諦めたくなかった。

 

そして始めて目が悪くても良い絵は描けるということを実感した。

 

デッサン

画塾に通うと、必ずデッサンというものを習う。

デッサンは、主に鉛筆やコンテ等で描く、1色の濃淡で対象物を描く手法のことです。基本的に描く対象の形状や陰影をそのまま写し取って描きます。絵を描く際に必要な観察力や表現力を訓練する事ができる為、絵画の基礎能力を向上させる為の訓練としても用いられます。

私が今しているデッサンはこんな感じ。ちょっと昔のだけど。
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デッサンにもいくつか種類があって、卓上デッサン・静物デッサン・石膏デッサンなどがある。

デッサンは大きな枠組みで考えると自分が描こうとしている対象物に迫る行為で、気をつけることは、色々ある。

 

構図、形の正確さ、立体感、質感・陰影、線の美しさ、空間感、存在感、、、。

色々なことを考えてデッサンする必要がある。

 

すごい難しいと思われるかもだけど、対象物(モチーフ)に迫っていき絵を描くのはとても楽しいし一心になれるから私はデッサンは好き。

そう、デッサンはすごい好き、、、!

目が悪いからディテールが描けずに周りの人より劣ると思ってた

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私の視力が悪いことがハンデとなるデッサンが静物デッサンで、描く場所とモチーフが2mほど離れている。

その距離だと、モチーフの細かい部分、植物の葉脈・布のシワのつき方・キズ・ガラス瓶の映り込みなどがほとんど見えない。
特に植物とかだと、枝の付きかたとかは、構造を理解できないからやっかいもの。静物デッサンで自然物が出た時はホントに悲惨。

近くにモチーフがあれば細かいディテールまで描けるのに、モチーフと距離が離れているから描けない。描こうとは思ってるのに見えなくて描けないのがほんとに悔しい。

他のみんなは、視力は普通にあるから、ディテールも見えて描ける。

 

自分は描きたいのに描けない。

このはがゆさがたまらなく嫌だった。

 

ディテールを描くことはデッサンにおいてとても重要。

デッサンは自分が描こうとしているモチーフに迫っていく行為だから、より迫った表現をするにはディテールを描く必要がある時が多い。

 

だから、ディテールが描けているかいないかでデッサンの出来の良さは全然変わる。

それならディテールが描けない自分のデッサンはやっぱり他人より劣ってしまうのか。

本当に上手い人達と比べられたらもうダメなのか。

 

今の画塾には、高1から画塾に行き始めた子もいれば、高3から行き始めた子もいる。

高3から行き始めた子には正直負ける気はしない。なぜなら質感の表現とか空間感とかをまだ意識していないのがわかるから。

でも、高1から始めた子は質感とかも表現できているし、画面の中での距離感の出し方も分かってる。

その子と自分の絵を見比べた時に、細かい部分の描写ができてないことがやっぱり自分のデッサンを見劣りさせているなと感じた。

 

人間は何かハンデがあった方が良い

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静物デッサンをする度に講評で先生から「ディテールが描けてない」と言われるのがたまらなく悔しかった。

先生達も、私が弱視なのは知ってくれているけど、デッサンとして良いかという観点で見るためにどうしてもディテールが描けてないことが目に付くらしかった。

どうしたらいいんだろう。

 

ディテールが描けないなら描けないなりに何か工夫できないだろうか…?

 

ディテールは、初心者でも誰でも見れば描ける。

それなら私は見えない部分で勝負しようと思った。

 

余白の美しさ、空間感、光の印象、、、

 

そして、実際に目で見て観察したことと自分の体験を掛け合わせて描く中で生まれる「個性」。

 

自分にしか出せない描き方や表現を絵に出したい。

見る人に伝えたい。

おそらく美大受験をする人でここまで考えてデッサンをしている人は少ないと思う。芸大などを受ける人なら別かもしれないが、最近はちょっとデッサンを勉強しただけで受かる美大もたくさんある。

それならここで差をつけよう。

 

この考え方が合ってるか間違ってるかはわからないけど、ディテールが描けないなら別のところで勝負するしかないと思ってる。

 

もちろん、一般的に目に見えないと言われている部分ー空間を描くとか光を描くーというのは、頭で考えて描いたりしなきゃいけないから中々絵に表現できるようにならない。

 

まして「個性」を見た人に伝わるように描くのは本当に難しいと思う。

 

でも、こうしたい!!!という強い思いがあれば絶対見た人に伝わる!と思って一心に描いてきた。

初めて理解された

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中々自分が絵に込めてる思いとかディテールが描けない分を補うほどの見えない部分の表現が、見た人に理解されずにすごい苦しんだ。
自分が空間や光を意識して描いたものでも、それが相手に伝わらないと意味がない。相手に伝えられるだけの画力が身についていないのがつらかった。

 

何回も本当にこっちで勝負できるんだろうか…?と悩んだ。

だけど、この前初めて、ディテールを上回る光の印象が描けていると言われた。

 

画塾のコンクールで、デッサンがあり、その時はモチーフとの距離がほんとに遠くて全然見えなかった。何回も近づいたりしたけど、植物なんかは記憶してかけない。

 

すごい悲しくて、悔しくて、ディテールの細かい部分が見える人が羨ましかった。「私も見えたら描けるのに、、、。」と何回も唇をかみしめた。

ディテールが描けないせいでコンクールの点数が下がるだろうな、と思いながらも一生懸命描いた。

 

結果的に、やっぱりディテールは他の人よりも描けていなかったんだけど、コンクールでは1位だった。

 

私のデッサンが、光の印象がモチーフとばっちり合っていて、美しく描けていたことが、

2位の人がしっかりディテールを描いていたことよりも優っていたらしい。

 

この時は本当に、「ああ、ディテールがあまり描けなくても、良い絵は描けるんだな」って実感した瞬間だった。

 

先生からその部分が評価されていたこともすごい嬉しかった。その部分を見てくれる先生方でよかった。
ほんとにありがとうございます。

 

私はやっぱり純粋に絵が好きだったから、デッサンをすごい考えながら描くのも好きだし美しくデッサンを描けるようになりたい。

だからこれからも好きなことは好き!って貫くし、ハンデがあったとしてもそれを越えるような表現を身につけていきたい。

 

ハンデがあるからって諦める必要はないと実感した瞬間だった。